「お金2.0」から学ぶ、人類の根源的な自己研鑽の姿勢。

前書き

「お金2.0」という本を読みました。

率直な感想として、本書の著者である佐藤航陽氏が書いていることに、「アドラー心理学」とつながるものがあり驚きました。(本書でアドラー心理学については全く触れられていませんのであしからず。あくまでもわたくし個人の感想です)

この「お金2.0」という本は、今起こっている価値観の変化から、これからの世界の動きを予想している本です。

僕は、最新の世界の情勢を盛り込んで価値観にアプローチした本書と、半世紀前の心理学者が提唱していたことが一致したことに驚きを感じ、同時に面白くも感じました。

仮定ですが、世界がどんなに発展しようと、人間が向かう方向は同じなのではないかと思いました。人間が最終的に求めるものは、そんなに変わらないのではないかと感じたのです。

技術の進歩が目まぐるしいIT業界で働く身として、この記事は「お金2.0」を読んで感じたことや得た知識、そして気づきを書くだけでなく、これからの世界の動きに乗り遅れることなく、自分自身を含めて今を生きる人々が、豊かになれることを望みながら書かせていただきます。

自動的に発展していく経済システム

フェイスブックやインスタグラム、そしてツイッターなどの巨大な利益を上げているサービスがありますが、これらにはユーザーの心の欲求をうまく満たすように作られています。ユーザーがユーザーを呼び、自動的に発展していった経済システムと本書で書かれていました。そしてこの自動的に発展していった経済システムが持つ共通の要素として、以下の5つが挙げられていました。

① インセンティブがあること
② リアルタイムであること
③ 不確実性があること
④ ヒエラルキーがあること
⑤ コミュニケーションがあること

僕自身サービスを実際使っていますが、上記の観点で注意深く見てみると実際にそうであることがわかります。

有益な情報を発信した人には”いいね”の数が多くつくように「インセンティブ」があり、情報は「リアルタイム」に更新されます。どのような反応があるか予測できない「不確実性」があり、フォロワーの数に差が出るように「ヒエラルキー」があります。そして人々が「コミュニケーション」できます。

これを読んで“なるほど”と思いましたが、実に心理学や脳科学とむすびついいているなとも思いました。5つの要素すべてが、モチベーションを上げる脳内物質であるドーパミンやセロトニンの分泌と関係するものだったからです。

逆に言うと、やる気を起こさせる脳内物質が分泌される要素が、上の5つの要素だと考えることができるとも思いました。



中央集権化から分散化へ

権力者とその配下の人々という中央集権化から、人々それぞれが個性を発揮できて、それぞれの個に価値が見出されていく分散化が進むだろうと、本書では書かれていました。

別に上下関係を否定するわけではなく、インターネットが発展した今後は、人々がそれぞれの個性を発揮しやすい世界になっていき、つまりそういう意味で、権力が分散するということです。(権力という言葉はあまりふさわしくないかもしれません)

ここに、僕はアドラー心理学の「横の関係」というのが当てはまると感じました。

人を評価する、または人から評価されるという根本の考えからの「縦の関係」ではなく、相手と共にに行きていこうと考える「横の関係」の心理が、今後の社会には価値の分散として現れていくのではないかということです。

実際に会社という組織に所属せず、ネットでゲーム実況動画を配信して収入を得ている人も実際にいます。YouTubeを見れば、プロ並みの歌手もたくさん存在します。つまりインターネットが普及した現在、自分の個性や価値を容易に世界に発信することができ、そのそれぞれの個性が価値と認められれば、自然とそれで生活ができるということになります。

会社員として収入を得ることを否定しているわけではありませんが、僕はここから、自分の個性やスキルを磨いていくことが、今後一層大事になっていくと思いました。

これからの価値

これから価値として重要になっていくのは、以下の3つであると書かれていました。

① スキルや経験のような実用性としての価値
② 共感や好意のような内面的な価値
③ 信頼・人脈のようなつながりとしての社会的価値

僕は、今後どのように世界が動いていくかどうか考える前に、①の実用性としての価値だけでなく、②や③のような、より個人そのもの価値に重きが置かれていくことに対して大きな肯定感を持ちました。なぜなら、②や③は①と比べて、人間味のある価値だと思ったからです。より個人の生まれつきの感性などに価値が置かれていけば、それこそが真の実力主義であると僕は感じました。(実力主義という言葉は、お金2.0では書かれていません)

僕はこれからの世界は、人それぞれがより一層個性を表現し、また表現することができる人たちが、さらに価値を見出される世界になっていくと感じました。

大半の労働は機械に置き換わる

大半の労働は機械(AI)に置き換わるという言葉は、本書のいろいろなところで書かれていました。確かに今後テクノロジーが発展して、今は仕事として成り立っているものが、機械に置き換わる可能性は大いにあります。

これについても前述した内容と重なりますが、やはり今後の世界では、自分にしかできないことや個性を発揮していくことが肝要であると感じました。

「お金2.0」を読んで一番印象に残ったのは、他者に貢献できる人が今後一層注目され、価値が高まっていくだろうという話でした。フェイスブックの創業者ザッカーバーグのスピーチを引用して、「人生の意義・目的を持っていることは当たり前となり、これからは意義・目的を人に与えられる存在こそが価値となっていく」とまで書かれていました。

これが先ほど書いた「信頼・人脈のようなつながりとしての社会的価値」になるのですが、まさにアドラー心理学でいう「他者貢献」ではないかとハッとしたのです。

アドラー心理学を学んだとき(今も勉強中ですが)、「他者貢献こそが幸福である」との言葉に出会いました。少し誇張しすぎているんじゃないか、と感じたこともありますが、他者へ「意義」や「目的」を与えられる存在が本当に価値となっていくのであれば、まさにアドラーの教えは的確に人間の本質を捉えていたのだなと思いました。

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感想(31件)

あとがき

自分は心理学が好きなので、この本で読んで感じたことをアドラー心理学と結びつけて考えてみましたが、実に共通することが多く、この記事を書きながらも驚いてもいます。

繰り返しになりますが、これからはお金という物質的なものよりも、共感熱狂信頼好意感謝などの内面的な価値がよりいっそう重要視される時代になっていくと思います。

人類が発展し続けてきたのは、「現状より良くなりたい」と考え続けてきた自己研鑽をする生き物だったからだと僕は思います。そして今後はより努力が報われる時代になると僕は考えました。「お金2.0」を読んで、より良い未来を創るために貢献すること、を今の目標としていきたいと感じました。