「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」を読んで

目次

はじめに

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」を読んだ。

平均寿命が上がったため、老後を過ごすための資金が上昇し、定年退職して退職金だけで過ごすことはできなくなった。年金制度も崩壊しており、今後はより詳細な人生設計が必要になる、ということを書いた本だ。

今40代である自分としては、気が滅入るようなことも多く書いてあったけれど、前向きにとらえて読了後の感想を書きたいと思う。

世代の違う3人を例にして

本書では、世代の違う3人の人物を例にして人生設計のヒントやアドバイスが書かれている。

一人目がジャック。1945年生まれ。

二人目がジミー。1971年生まれ。

三人目がジェーン。1998年生まれ。

ジャックの世代は機能した

ジャックの世代は、平均寿命が70歳前後。教育と仕事と引退という3ステージの人生が最もうまく機能した世代である。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

本書が書いていることのひとつとして、「教育」「仕事」「引退」の人生の3つのステージがあり、それが崩壊しているということがある。

ジャックの世代までは平均寿命が低かったため、定年退職しても残されている老後の時間は少なかった(言い方は悪いけれど)。なので退職金や年金で老後を過ごすことができた。

今は平均寿命が延び、65歳で定年退職しても老後の資金が足りない。また年金制度も崩壊している。

そのため、人生のステージを「教育」「仕事」「引退」という3つに限定せず、たとえば「再教育」ステージを設けることを提唱していたりする。

ジェーンは労働市場の変化に対応するために、人生の途中で時間を割いて新しいスキルの習得に投資し、新しいテクノロジーを受け入れる必要がある。それをおこなうことにより、ジェーンは3ステージではなくマルチステージの人生を生きるのだ。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

無形資産の価値

とくに興味深いのは、ハーバード大学の「グラント研究」だ。
(中略)
この研究によれば、有形の資産が重要なことは間違いない。金銭的資産が乏しかったり、ほかの人より少なかったりすれば、不満が生まれる。しかし、人生に満足している人に共通する際立った要素の一つは、障害を通して深くて強力な人間関係を築いていることだった。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

寿命が延びたことにより重要になってくるのが無形資産。

上の引用文では人間関係が取り上げられているが、その中でもパートナーとの関係だったり、ほかでは趣味であったり、没頭できることである。

前述した「再教育」においても、パートナーの助力が必要となることが示唆されていた。(再教育を受けている間、パートナーからの支援を受ける)

エクスプローラー

エクスプローラー(探検者)のステージと聞いて思い浮かぶのは、興奮、好奇心、冒険、探査、不安と行った要素だ。エクスプローラーは、一ヶ所に腰を落ち着けるのではなく、身軽に、そして俊敏に動き続ける。
(中略)
このステージは発見の日々だ。旅をすることにより世界について新しい発見をし、あわせて自分についても新しい発見をする。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

100年時代の人生には、学び直したり新しいことを学ぶことが、重要になってくる。

本書では一番若い世代であるジェーンの人生設計の中で、ジェーンが旅をしてビジネスについて学ぶステージを描き、そのステージをエクスプローラーと呼んでいた。

ただ旅と言っても観光ではなく、積極的に人と関わることが重要だという。

エクスプローラーがおこなう探検は、単なる観察で終わらせずに、さらに一歩踏み込んだときに最も効果がある。観光客が旅先の町を見物するような態度では、大きな成果は得られない。望ましいのは、関わりをもつことだ。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略

そしてエクスプローラーのステージをもつためには、パートナーの存在がより重要になってくるという。

エクスプローラーのステージでは新しいことを学ぶことや発見が目的であるため、収入はなくなると考えていい。パートナーのサポートが必要となる。

ジャックの世代では男性が働いて女性は家庭にいるということが一般的だったが、このパートナーとの関係性も100年時代となると変わってくる。

パートナーと良好な人間関係を築き、助け合うことがより重要となってくる。

(前略)
ギデンズの言葉を借りれば、いま起きているのは「親密さの変容」だ。パートナー同士の間に、言うなれば純粋な関係が生まれつつある。それは、取引的性格をもつ旧来の夫婦関係とは異なり、その関係自体が双方に恩恵をもたらすからこそ維持される夫婦関係のことである。そのような関係は、内省を土台とし、つねに再検討と再構築を受け入れる。それは、不変の関係でもなければ、惰性で継続されるような関係でもなく、二人の間で調整を重ねていく関係だ。

LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略