「僕は君たちに武器を配りたい」から学ぶ、投資家的な生き方と考え方

僕は君たちに武器を配りたい

前書き

「僕は君たちに武器を配りたい」という本を読んだ。

率直な感想をいつもどおり書くのだが、「激動の時代がやってくる。考えない人間は搾取され、考え努力する人間がさらに評価されていく時代になる」と感じた。

この本から得た気づきと教訓、そして心に残った言葉をこの記事では書いていきたいと思う。そしてここで書くことが自分への戒めになるだけでなく、世の人の心に少しでも響くことがあれば幸いだ。そして何より、瀧本哲史氏が書いたこの「僕は君たちに武器を配りたい」という本を、手にとってくれる人たちが増えることを望む。

価値を別の分野の価値と結合させる

コモディティ化とは価値が低下することをいうが、本書ではこのコモディティという言葉が多々出てくる。というのも、瀧本氏が最終的に言うところとして、コモディティな人間になるなということだ。つまり価値ある人間になれと。

そのコモディティにならない考え方として、「既存の技術をまったく別の分野に応用して新しい価値を生み出す」との言葉が書かれていた。

このアプローチの中で、「資格だけを持っているということは価値が無い」、「TOEIC 900点持っています」というのはもう意味がないとまで書かれていた。

本の後半でこの言葉の真意が語られているが、要するに、資格だけではもう通用しない世の中になっている。英語だけができる人はたくさんいる、ということだ。つまり、複数のスキルの融合がひとつの価値を生み出す方法であると。

ここを読んで今までの自分を振り返り、努力の範囲が狭かった、と感じた。つまり、システムエンジニアをやっているのが、ITスキルの勉強はしていたが、あくまでITスキルという範囲に絞ってしまっていた。さらに資格取得に焦点を当てていたことも否定できない。

「もっといろんなことを勉強していく」と自分は常日頃考えていたが、その言葉は「もっと広い視野で勉強してく」という言葉に置き換えることにした。

イノベーションは新結合

イノベーションという言葉は日本語では「技術革新」と訳されるそうだが、著者瀧本氏は「新結合」が適切だと持論を展開している。

このアプローチへの例として、「他の人が高く売れないと考えている魚でも、このように調理すれば高く売れる、と考える漁師は儲かる」と書かれていた。つまり、既存の技術使ってうまくマーケットできるスキルが重要だということだ。

前述した、「資格だけでは通用しない」「TOEIC 900点だけは価値が無い」ということとつながるが、つまり自分が持っているスキルの幅をもたせ、それらを融合した上でうまく自分を売り込むということが、今後重要になっていくと読み解いた。瀧本氏は本書の中で、「エキスパートは価値が下がっていく」と展開している。繰り返しであるが、ひとつのスキルに特化していることは特化ではなくなっていくということであり、特化したスキルの融合とマーケティングが今後重要になってくると僕は考えた。




信用できない人間

少し本書の内容からは話がそれるが、面白い言葉が書かれていた。

人は意見がずれる人のことを信用しない。意見を変えるなら変えるでしっかり表明すればいいのだ。誤魔化すから信用されなくなるのだ

この話の中で語られていたが、アップルのスティーブ・ジョブズ氏は、昨日却下した部下の意見を今日は取り入れる、ということが日除茶飯事にあったらしい。

自分の社会生活に当てはめて考えてみると、自分の意見を変えて誤魔化す人間は論外だが、言うことがころころ変わる人は少なくない。でも誤魔化す人もそう多くない。しかし、変えた意見の理由をはっきり表明する人はめったにいないことに気がついた。

ここから、意見を変えるときははっきりその理由を表明する、という教訓を得た。聞かれなくても言わなくては、誤魔化す人間と大差ないと自分は考えた。

お客様に接するように従業員に接しなさい

それた話をもうひとつ書いておきたい。本書の中で、高級ホテルチェーンを世界で経営するマリオネットグループの、ホテルマネージャーの心得が書かれていた。

従業員に対してお客様のように接しなさい。そうすれば従業員もあなたが接したようにお客様に接するでしょう

本書ではブラック企業の見分け方についても言及しているのだが、そのテーマの中で引用されていた言葉だ。ブラック企業のことについて本記事で書きたいわけではなく、自分のこれからの社会活動において、ヒントになりそうな言葉だと感じたのでご紹介している。

お客様、というのは言い過ぎかも知れないが、心理学で作用反作用の言葉があるように、自分が接したように相手も接してくるものだ。

ここで僕は、アドラー心理学の言葉を思い出した。

自分が相手を「縦の関係」で見ていれば相手との関係はずっと「縦の関係」だ。「横の関係」を築ければ、ここでいうマリオネットグループの心得につながるのではないかと感じた。