目次
はじめに
「幸せになる勇気」を読みました。大ベストセラーとなった前作「嫌われる勇気」の続編であり完結編です。
このブログは、運営者であるわたくしの読書レビューブログであり、本から得た気づきを書いているブログです。そして自分の読書の軌跡を記録するものでもあるのですが、時を遡ってみると、約1年半前に「嫌われる勇気」を読んでいました。
本書「幸せになる勇気」を読み終えてみて、率直な感想として、アドラー心理学を復習することができたと感じました。
本というのは、読んだだけでは身につかない。内容もすぐに忘れてしまいます。
ですが、本を読んだうえで自分なりに考え、その考えをまとめて外に出す(誰かに伝える)という行動を取ることで、本から得た知識を自分の身体に染み込ませることができます。いわゆるアウトプットというやつですね。
僕は「嫌われる勇気」のアウトプットを約1年半前にやっていたのですが、本書「幸せになる勇気」を読んでみて、アドラー心理学について忘れていることがけっこうあったなと感じました。そして、アドラー心理学を理解するところまではまだまだ行きついていないな、という感覚も得ました。
この「幸せになる勇気」という本は、「嫌われる勇気」などでアドラー心理学を学んだ人たちにとって、よい復習の本となると言えます。また、アドラー心理学について深く知ることができる本であるとも言えます。
では本書を読んで印象に残った言葉を引用しつつ、「幸せになる勇気」からの気づきを書いていきたいと思います。
哲人と青年のやり取りが面白い
前作「嫌われる勇気」でも同様の形式を取っていましたが、本作でも哲人と青年の2人の登場人物がいて、彼らの会話でアドラー心理学を解説する形式をとっています。
まず、率直に本書がとてもいいと思うのは、会話形式を取っていて面白さがある、ということです。
教師という職についた青年が悩み、哲人の書斎をまた訪れます。前作「嫌われる勇気」でアドラー心理学を学び、それを教育に実践していた青年なのですが、実際は思うようにいかない。アドラー心理学を実践しているのだが、結果が出ない。
アドラー心理学に対して不信感を持った青年が哲人を訪れ、ときには「偽善者!」や「サディスト!」という辛辣な言葉を哲人に浴びせます。そのほかにも感情的な言葉を哲人に放つシーンは数多く存在します。
そんな青年に対し冷静に淡々と哲人がアドラー心理学の深層を語っていくわけですが、単純にこのやり取りが面白いです。
単なる「怒っている人」と「諫める人」のやり取りではなく、その2人の会話には必ずアドラー心理学が根本にあり、見事に実践としてアドラー心理学を学んでいくことができる内容となっています。
どのような態度で取り組むかで価値が決まる
人間の価値は、「どんな仕事に従事するか」によって決まるのではない。その仕事に「どのような態度で取り組むか」によって決まる。
前作「嫌われる勇気」においては、自分のタスクと他者のタスクを分ける、ということが書かれていました。つまり、他者の課題に解決することはできない、他者の問題を解決するのは、あくまでも他者なのだと。
本書「幸せになる勇気」でもこの「タスク」については書かれていましたが、より実践的で印象に残った言葉が上に引用した言葉で、どのような態度で取り組むかが重要であるという言葉です。
わかりやすく言えば、医者や弁護士という職業に価値は無く、どんな仕事であれ、真剣に取り組むことに価値がある、ということになるのだと思う。
まあ、アドラー心理学らしいな、と思いました。(ちょっと上から目線ですが。。)
アドラーは自分のタスクと他者のタスクを明確に分けて考えていましたし、他者貢献こそが幸せだと言い切っていました。なので、アドラー関連の本で(ましてや「嫌われる勇気」の続編で)このような取り組む態度についての言葉が出てくることには驚きはありませんでした。
別にこの言葉を否定するわけではなく、僕も能動的に物事に取り組むことは大切だと思っています。
でも、ここまで肩書きではなく態度にフォーカスするのもなかなか勇気がいることではないかと思ってしまいました。実際、アドラーの考えに反発する人は多く存在したようです。
本書のタイトル(前作も)に「勇気」という言葉が含まれているのも、アドラーが勇気を出すことが大切だと思っていたからだと感じます。
問題行動の5つの段階と信じること
教育に悩む教師となった青年が、哲人から問題行動の5つの段階を教えられます。問題行動を起こす生徒たちを、どのように対処すればよいのか、という話からこの話題に入ります。
- 称賛の要求
- 注目喚起
- 権力争い
- 復習
- 無能の証明
詳しいことは本書を読んでほしいです。簡単に言えば、問題行動を起こす段階には5つあり、上に行くほど対処が困難になるということです。
そしてこの「幸せになる勇気」にはこの問題行動5段階において、人がどのように行動するのかが具体的に書いてあります。
このパートを読んでいく中では、僕は少し恥ずかしさも感じてしまいました。なぜなら僕も学生の頃、まさにこのような行動を取っていましたので。思い当たる節が多々あったというわけです。
問題行動の5段階を示しつつ、哲人は青年にアドラー流の心構えを教えます。その心構えは実にシンプルです。
信じること、です。
これだけではどういうことなのかわからないと思いますので、ぜひ本書を読んでみてほしいです。
でもアドラーは人を信じることがとても大事だと考えていて、人を信じることがアドラー心理学の中で根幹とも言えます。
アドラー心理学が勇気の心理学と呼ばれるのもわかる気がします。
終わりに
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
アドラー心理学の何たるかまではお伝えできなかったとしても、本書「幸せになる勇気」を少しでも読みたいという気持ちになっていただけたら、とても幸いです。
「嫌われる勇気」を読んだ人は、アドラー心理学の復習として。
「嫌われる勇気」を読んでいない人は、アドラー心理学の学びのとっかかりとして。
少しでも多くの方に、アドラー心理学をお伝えするきっかけとなれば、本記事を書いた自分としてはこれ以上の嬉しさはないです。