前書き
夏川立也氏が書かれた、「誰からも必ず「よかった!」と言われる話し方39のコツ」を読みました。
率直に、厳しい世界で生きてきた人が書いた本、だと感じました。
夏川立也さんという方は、桂文枝さんに弟子入りした方です。芸能界というだけでも厳しい印象がありますが、その中でも落語の世界は相当厳しい社会なのではないかと想像します。
この本を読む前から桂文枝さんに弟子入りした芸人の方が書いた本であることは前提知識として知っていましたが、それでも、芸人として、また落語家の弟子として生きてきた苦労が、この本に表れていたと思います。
そんなプロの芸人の方が、芸人として培ったコミュニケーションの技術を体系化した本が、この「誰からも必ず「よかった!」と言われる話し方39のコツ」という本です。
この本からいただいた、ありがたい気づきを、本記事では書いていきます。
空気は作り上げるもの
コミュニケーションで大事なことのひとつとして、場の空気が取り上げられていました。そして場の空気を作り上げることが、コミュニケーションには大切であると。
とても芸人さんらしい言葉であると感じました。
この本は1対1のコミュニケーションというよりは、1対多のコミュニケーションにフォーカスして書かれています。ですが、場の空気を作り上げることは、1対1のコミュニケーションでもいえることだと思います。
会ってすぐに相手と仲良くなろうとしても無理がありますし、人は接触回数が増えるごとに相手に対する親近感が上がるということが研究で証明されているようです。これはザイオンス効果というそうです。
つまり僕が思ったのは、コミュニケーションをする上で土台も大切なんだ、ということです。
いきなり自分の一番言いたいことを言っても、相手との関係の土台ができてなければ伝えるのは難しいですし、まずは相手と打ち解けることが大切だと思いました。場の空気という言葉で、コミュニケーションの土台の大切さに、理解が深まった気がします。
そして、場の空気は底から上げるもの、ということも書かれていました。わかりやすく言うと、プレゼンなどの場合、一番温度感の低い人のテンションに合わせて、徐々に空気を温めていくということです。
自分のテンションでプレゼンするのではなく、相手に合わせて場の空気を作って、そして相手と場の空気を共有できた後に、伝えたいことを伝えるのであると。元気にプレゼンすればみんなついてきてくれると考えることは間違いだと気づかされました。僕は今までそうやっていたかな、、、なんて。
相手と場の空気を共有するという気づきは、明日からでも実践していけそうです。
心のボリュームを上げる
実に新鮮な言葉でした。この言葉が、本書を読んで一番印象に残りました。また、芸人さんならではの表現だなと思いました。
テンションを上げるという言葉はよく使うと思うのですが、心のボリュームを上げるという言葉はなかなか使いません。一見同じような意味に見えますが、僕は心のボリュームを上げるという言葉の方が好きです。
なぜかというと、大きな声で話すだけでは相手に伝わらないということが、心のボリュームを上げるという言葉でうまく説明できると感じるからです。
そして、心のボリュームが上がった状態というのは、相手と場の空気を共有できていて心がリラックス状態にある時だと思いますし、相手に自分の伝えたいことを伝えるという気持ちが、強まっているときだと思うのです。
テンションを上げる、声を張るというような空元気も含んだ表現ではなく、相手に伝えたいという気持ちが高まった心のボリュームを上げるという言葉を今後使っていきたいと思ったし、そんな状態が多くある生活にしたいとも思いました。
誰からも必ず「よかった!」と言われる話し方39のコツ [ 夏川立也 ] 価格:1,430円 |
すごい人ではなく親しみやすい人になろう
システムエンジニアをやっている僕ですが、どこか誰にも負けない技術を持とう、と思ってしまっているところがあったように思います。
でも本当にすごい人というのは、親しみやすい人であって、技術やテクニックが上手な人ではないんじゃないかなって、この本を読んで思いました。
聞かれたら何でも答えられる人ではなくて、聞かれやすい人(相談しやすい人)になることの方が、ずっと重要なんだと思ったのです。だからこうして自己啓発の本を読むことや、ヒューマンスキルを磨き続けることは、今後もずっとやっていきたいと思いました。
それこそが、今のAI時代を生きていく力だと思ったし、40代、50代になっても仕事をいただけるシステムエンジニアになることに繋がるのではないかと。
具体的な例も挙げられていて、相手から好感を持たれるには、まず自分から好感を持つことや、相手が喜ぶ目線で行動することなど。
そして芸人さんの言葉としては意外でしたが、相手と話すとき(何かをプレゼンするとき)、相手を笑わせようとするのではなく、相手にプラスの感情を与えようとして話すことが肝要であると書かれていました。
どこか相手を笑わせようとしていた自分がいたのかもしれません。相手にとって良いことを考えながら行動することの重要さを、あらためて知ったような気がします。
後書き
最後までお読みいただきありがとうございます。
本記事で、「誰からも必ず「よかった!」と言われる話し方39のコツ」を読む方が増えたら嬉しく思います。
コミュニケーションについて書かれた本は多々ありますが、本書は芸人さんが書かれた本ということもあって、他とは違う視点があるので、お勧めできる一冊です。
ぜひ手に取っていただけたら幸いです。