世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業、を読んで

目次

はじめに

インドのチェンナイという街から2時間ほど車を走らせた先に、ワンワールドアカデミーという学校があり、心の授業が開かれていると言います。

内容は事前に知らされることはないそうですが、この心の学校には世界中のエリートが参加をするといいます。

その心の授業を実際に受けてきた日本人と、ワンワールドアカデミーの講師の方の共同著作が、「世界中の億万長者がたどりつく「心」の授業」という本です。

「心の授業」という言葉や、「インド」という国の名前を聞くと、宗教を思い浮かべる人もいるかもしれません。(インドへの偏見ではなく、インドは信心深い国なので。。)

しかしこの本に書かれたことに一切の宗教的な事柄はありません。ビジネスや普段の人間関係をより良くする、今の時代を生きる知恵が書かれている本です。

僕がいう「今の時代」とは、主に以下のようなことです。

  • 人間関係が希薄になりがちである。
  • 仕事を優先し、プライベートを後回しにしてしまう。
  • 忙しさのため、人生の目的を見失いやすい。

この本を読む前は、「当たり前のことが書かれているのだろう」と偏見を持っていましたが、実際に読んでみると新しい発見が多々ありました。

印象に残った言葉を引用しながら、本書の読書後の感想を書いていきたいと思います。

 

億万長者でも悩みはある

億万長者(お金をたくさん持っている)であっても、悩みはある、ということが、本書の冒頭に書かれていたことです。

実際にこのワンワールドアカデミーには、億万長者や大物投資家、多くのフォロワーを持つ有名ブロガーやアラブ国王のご子息といったような方々が参加するそうです。

悩みの内容をみていくと、「必死に家族のために働いてきたのに、家では娘が目も合わせてくれないんだよね。。」や「財産を築けば悩みがなくなると思ったけど、今度はそれを失うことが心配で。。」と言ったものです。

これは富を築いた人々の具体的な悩みですが、一般のサラリーマンにも当てはまるはずです。

特に、必死に働いて家庭を疎かにしてしまい、家族との人間関係が悪くなってしまうというようなことは少なくないと思います。(自分の親がそうでした)

気づいたことは、どんなにメンタルが強くて社会的に成功しているひとでも、人間は人間で心を病むことはあるということです。




「感情」=「自分」ではない

特に印象深かったのが、下の言葉です。

感情=自分ではないことを知り、感情は、物事を経験したとき、勝手に生まれる副作用のようなものと軽く考えていくことです。

人が悪いコンディションにあるときは、意識が自分に向いてしまっている状態であると、ナミバーデンさん(本書の著者。ワンワールドアカデミーの講師)は言います。

そして感情というものを、上のように客観的にみるように勧めています。

人間の感情は一定ではなく、怒りに苛まれたり悲しみにくれたりします。

この感情に圧倒されるのは当たり前ですがよくないです。そして本書でいうと、この感情を押し殺したり消そうとしたりすることはもっとよくないといいます。

もう一つ言葉を紹介します。

一度生まれたネガティブな感情は、根本的な問題が解消されない限りは、自分の心の隅に押し込められ、ことあるごとに形を変えて表面化するからです。

根本的な感情の元を特定しないと、一時的に気晴らしで気分が晴れたとしても、また嫌な感情は襲ってくるということです。

この問題を特定するためのステップとして、4つのステップを本書では紹介しています。

深い内容で4つそのまま紹介しても伝わらないため、知りたいという方はぜひ本書を手にとっていただければと思います。




理想像を捨てる

本書に書かれている問題解決のための考え方を紹介すると、それは以下のようなものです。

起きた出来事が苦悩を作っているのではなく、本人が執着している理想像が、苦悩を作り出しているのです。

誰かに不本意なことを言われて傷ついたとき、確かに相手の言葉によって自分が傷ついたわけですが、それは自分の理想像が発生させているものかもしれません。

人に悪口を言われて、「あっそ、勝手に言ってれば」とスルーできる人もいれば、そうでない人もいます。

この違いは、悪口の内容ではないはずです。

つまり、悪口を言われてもスルーできる人は、自分は悪口を言われる人間ではない、という理想像を持っていないはずです。

逆にいうと、悪口を言われて傷つく人(傷つきやすい人)は、自分は悪口を言われるような人間ではない、という理想像に執着しているといえます。言い方を変えれば、悪口を言われるようなダメな人間ではない、という理想像かもしれません。

前述したとおり、感情は経験による副作用であり、自分自身ではないということですね。

この「理想像を捨てる」という言葉は、僕にとってはかなり新鮮な言葉でした。

仕事で嫌なことがあった時に(いやな気分になったときに)、一瞬でもいいので「今自分はどのような理想像にしがみついているんだ?」と問いかけてみるだけで、かなり心が軽くなります。

 

後書き

この「世界中の億万長者がたどりつく心の授業」という本の面白さはこれだけではありません。

たくさんのビジネス書や、また心理学に関する本を読んできたひとでも新しい発見があると思います。

興味がある方はぜひ手にとってみていただきたいです。

僕はこのブログを書きながら、心が軽くなっていくような感覚を覚えました。

たぶん自分の意識の中で具体化できていないモヤモヤがあるのだけれど、感情は副作用で自分自身そのものが弱い存在ではないと、意識することが出来たからなのだと思います。。

良い思い込みは武器ですよね。