ひろゆき氏の本を始めて読んだ。「お金の話」の感想を書き留める

はじめに

ひろゆき(西村博之)氏の本を始めて読んだ。本のタイトルは「お金の話」だ。

僕は2チャンネルをやったことがない。閲覧はしたことがあるけど、2チャンネルで誰かと会話しようとは思わない。なので、2チャンネルを作ったひろゆき氏のことを”すごい人”とは思ったことがない。彼が作ったものに触れていないので。

しかし、ひろゆき氏がテレビの討論番組などに呼ばれていて、そこで喋っているひろゆき氏を見て常々思っていたのは、動じない人だということだ。

彼は、言いたいことがあったらすぐにその場で発言するし、言及されても言い返す。簡単に言われ負けしない人だということはテレビを見て(正確にはYouTubeの動画であるが)感じていた。

一見大人しそうに見える(自分の勝手な印象)けど、自分を持っている(自分は自分、他人は他人と考える)人だなという風に思っていた。

ひろゆき氏の本を読もうと思ったのは、彼がどういう人なのか知りたかったからだ。

率直に言うと、僕はひろゆき氏にあまり良い印象を持っていなかった。この「お金の話」という本を読んで、印象通りの良くない感想を持ったこともあったけれど、それ以上に、よく考えている人なのだな、と思ったことの方が圧倒的に多かった

本書を読んで印象に残ったことを書き留めたいと思う。そして、この記事を読んで本書を手に取ってくれる人がいれば、僕には一銭も入ってこないけれど素直に嬉しく思う。

お金で人生は大して変わらない

彼は幼いころ、裕福ではなかったようだ。

そして今、彼はお金持ちになって思ったこととして、お金で人生が変わったとは感じないそうだ。

結論から言えば、本書から引用させていただくと、お金で買えるものでは大して人生変えられない、ということだ。

昔の冷蔵庫が高価だった時代では、冷蔵庫の有無によって大きく生活レベルが異なったけれど、今の必要最低限のものが安く買えるようになった時代では、お金で買えるものでそんなに生活レベルが上がるとは思えない、というのが彼が言っていることだ。

この言葉は非常に印象に残っている。僕も同じような感覚を覚えたことがあるからだ。

僕の20代の頃の年収は100万円代だ。経緯は省くがフリーターになってしまって、お金が無いからとりあえず働く、ということを繰り返してしまっていた

しかし、今はある会社に正社員として雇用されているし、職業もシステムエンジニアで、それなりに専門的なことを仕事にしていて誇りを持って働いている。年収はギリギリだけど、400万くらいはあると思う。最近はボーナスも入って、60万近い過去最高の月収を得ることができた。

でも、今まで買えなかった高額なものを買おうとは思わないし、買うもの自体が見つからないということもある。本を今まで以上にたくさん買うようになった、ということは実感としてある。

お金の使い道として強いて言えば、新しい自作PCを作ろうと思っている。

自宅に自分が使用するPCはすでに2台あって、普通の人だったら3台も必要ないと考えるだろう。もちろん、PCをカスタマイズすることが好き、ということもあるのだけれど、サーバの検証環境に使用したいのだ。
具体的に言うと、VMWareという仮想アプライアンスの構築に、もう1台デスクトップPCが欲しいのだ。VMWareを構築して、VMWareというものに対する知識を深めたいので、もう1台物理のPCが欲しいのだ。

VMWareは企業でよく使用されている仮想アプライアンスだ。なので、客先常駐型のシステムエンジニアをやっている僕としては、お客さんにベターなインフラを提案できるようになるためにも、またさまざまな現場に順応できるようになるためにも、自己研鑽の一環として、もう1台PCが欲しいと思っている。

ひろゆき氏も本書の中で言っているが、ただ満足のためにお金を浪費するのはあまり良くないし、自分の好きなことで社会のためになること(多くの他者が必要とすること)を見つけ、その知識や技術を磨くためにお金は使用した方が良い

それから、欲しいものを手に入れても、次の欲しいものが現れて、欲望は尽きることがない。お金があっても無くても欲望が尽きないことには変わりないのだから、お金で人生たいして変わらないというのもうなずける。



現在の悲しいお金の使われ方

昔はみんなが働いて収めた税金は、高速道路を作ることやその他の社会的インフラの向上に使われていたようなのだが、今は高齢化社会ということもあって、高齢者の医療費に使われている。

また、会社は法律上40代や50代の社員の首を切ることができないから、高齢の社員が会社に居座り続け、若い社員が非正規で働くことになり、日本が閉塞していっているとひろゆき氏は書いていた。

かなり過激な表現で素直に賛同できないところもあるが、必ずしも年齢を重ねた人間の方が優秀であるとは限らないし、何よりこれから社会で活躍すべき若手に成長の場を提供できていないということは、社会として問題であるとは思った。

安かろう悪かろうはダメ

今の日本は値下げ競争だらけだ。経済に素人の僕でも日々の生活の中でひしひしと感じる。

ものが安いことに越したことは無いと思うが、粗悪品であったら意味がないとははっきり思う。

安いから不良品でもしょうがない、なんてことを考え始めたら、それこそ良いものを作るという向上心は薄れ、日本は経済的にも技術的に後れを取ることになるだろう。

だから、「お金で人生たいして変わらない」でも書いたが、何に対してお金を使うか(投資するか)ということが大事なのだ。

未来に投資せず、今の現状維持に集中し過ぎていては、今より前には進まないと思う。この現状維持のひとつが価格競争であり、もっと悪い方向に行ったのが、値下げ競争なのだろうと思う。

ものであっても人であっても変わらない。

人件費はかからないけれど誰でもできる仕事しかできない人より、専門性や独自性があって質の高い仕事をする人が増えてくれば、社会は活性化するだろうし、人々の幸福度も上がっていくのではないか。

さいごに

この「お金の話」を読んで、ひろゆき氏が社会についていろいろ考えている人だということを知ることができた。そしてそれらはすべて悪い方向の事柄ではなかった。

素直に「なるほど」と思えることや、逆に「極端なこと言うなあ」と思うことの両方が存在している本だった。

僕自身いろいろ考えさせられたし、それからこの本は読んでてとても面白かった。極端なことが書いてあったからかもしれないけど。

この本を人に勧めるか、と尋ねられたら、「勧める」と答えるだろう。興味のある方は手に取ってみてほしい。