なんて本なんだ!「頭に来てもアホとは戦うな!」を読んで

はじめに

嘘なしにはっきり思うが、この本は今まで読んだ本の中でもトップ5に入るくらい、自分に印象を残してくれた本となった。また、いい意味で期待を裏切ってくれた本となった。

本のタイトルには「アホとは戦うな!とあるが、けっして他者を非難するような内容は書かれていなかった。逆に、いかに自分の中のマイナスな考えを捨て去れるか、というところに焦点が当てられていたと思う。

「頭に来てもアホとは戦うな!」を読んで、印象に残ったことを書き残したいと思う。この本に感動した自分としては、この本を手に取ってくれる方々が増えれば嬉しく思うし、本記事を読んで面白いと思ってくれたらなお嬉しい。

余計なプライド

「アホとは戦うな!」とタイトルにはあるが、本当に戦うべきなのは、余計なプライドを持った自分自身なのである

この本から得られた一番大きなこと、と言っても過言でないほどの言葉だ。余計なプライドが他人に頭を下げるのも拒ませるし、相手の気持ちを理解することも阻む。この本の筆者である田村耕太郎氏が政治家として活動していた時の出来事を交えて、戦うべきは自分自身の余計なプライドだ、ということが語られていた。

権力者と言うと聞こえが悪いが、誰しも一朝一夕で権力者にはなれないし、権力を持った人と良い関係を築くことは大切だ。媚びを売る、という表現を使うと引けを感じてしまうが、要するに他者と良い人間関係を築くためには自分の余計なプライドは邪魔だということだ。

不本意な人事異動しかない

人事異動は不本意なものである、と言い切っていた。

客先常駐型エンジニアをやってる自分にとっては、とても心救われる言葉だった。なぜなら、働く現場が変わることは珍しくないので。

もちろん、事前にどのような仕事をするのかということは営業にヒアリングできるが、それも限界がある。営業もITリテラシーが豊富であるというわけではないから。

例えば、インフラ側でやってきた自分がアプリの開発案件などにアサインされそうになったら、さすがに断るかもしれないが(そんなことは今までないが)、ある程度妥協することは必要だ

本書を読んでいる間にちょうど現場の変更があったのだが、インフラの設計や構築といったような上流工程に携わりたいと思いながらも、「まずは運用と保守からお願いします。」とお客様先から言われて、僕は「わかりました。」と了承した。

確かに、自分の中には「上流工程に携わりたい。このままでは経験を積めずにエンジニア人生が終わってしまう。」といったような危惧は少し感じたが、自宅のサーバを使用して学習しスキルアップすることは可能であるし、仕事は仕事と割り切って、仕事が終わったら自己研鑽に励めばよいと思えた。

本書の中でも書かれていたが、要するに、人事異動に期待するのが間違っていて、人事異動なんて不本意なものしかないと考え、異動先の職場で結果を出してやろうと前向きに取り組むことが大事だということ。そして、自分がコントロールできない人事異動のようなものには過度に期待せず、あらかじめ期待を低く持っておくような心構え、つまり期待値コントロールが必要だとも書かれていた。




正義にこだわらない

この世は不条理だそもそもが不条理

間違ったことがまかり通ることもあるし、自分が評価されず他者ばかりが評価されたりすることもある。そして仕事が楽しくなかったりすることだってある。

このような不公平や不条理なことは、日本だけでなく洋の東西を問わず、どこにでもあること

自分への不当な扱いにばかり目が行って、それを正義感から正そうとすることを否定はしないが、それよりも、どこに行こうが与えられた環境で結果を出してやる、という姿勢が大事。こっちの方が生産的な考え方だ。正義によって悪者が裁かれたり自分の思い通りになったりすることはあるだろうが、そのエネルギーを自分の成長のための時間に使うことができればそれでいいと思うし、たとえ自分の要望が通ったとしてもそれは一時的な満足である可能性がある

本書から引用させていただくが、人格者に囲まれ、平等に扱われ、公平に裁かれ、楽しい仕事ばかりなんていう環境はどこにもない

後悔

本書の中で、死ぬ瞬間に人間が最も後悔することが紹介されていた。それは、何人もの人を看取ってきた看護師のブロニー・ウェアさんのインタビュー記事だった。

人間が死ぬ瞬間に最も後悔することは、他人の期待に応えようとするばかりの人生ではなく、自分が真に生きたいと思う人生を生きる勇気を持っていなかった、と紹介されていた。

この言葉を読んだとき、今の自分の人生がまさにそうであると思った。独りよがりの人生もダメだが、他者を意識しすぎる人生でもダメだと思った。

他者はコントロールできない。自分がコントロールできるものに情熱とエネルギーを注ごう他者は自分が思っているより、自分を見ていない。他者に見られれている、という過剰な自意識が問題なのだ。

世の中は不変。自分も変わるし、相手も変わるいちいち一喜一憂していては人生の時間が無駄になってしまうことを学んだ。

ピンチはチャンス

ありきたりな言葉であるかもしれないし、「不本意な人事異動」とも関連する話だが、ピンチの時にチャンスが来たと考えられる方が圧倒的に生産的だ。

本書から引用させていただくが、ピンチとチャンスは表裏一体なのだ。そして、ピンチをピンチにするか、それともチャンスにするかは、自分自身の考え方次第なのだ。




終わりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

本記事を書きながら、あらためて「頭に来てもアホとは戦うな!」という本に出会えてよかったと思えた。勝手な見解だが、本書のタイトルの「アホ」とは、自分自身のマイナスな考え方なのではないか、と思った。

興味を持っていただけたら、ぜひ本書を手に取って読んでみていただきたい。