エッセンシャル思考。働いていくことだけでなく、生きていく上で身につけておきたい考え方

はじめに

エッセンシャル思考」という本をご存じでしょうか。

最近読んだ本なのですが、感動しました。

ものすごく的を射ている考え方を、これでもかと言わんばかりの根拠を示しながら、具体的に説明しています。

筆者(グレッグ・マッキューン氏)の実体験、ある企業の失敗した戦略や成功した戦略など。

世の中の大半のものはノイズである。本当に重要なものはほとんどない。だから、何が重要かを正しく見極めなくてはならない

引用元:エッセンシャル思考

本書に書かれている言葉です。

何でもかんでも実行しようとしてしまってはいないでしょうか。僕はそうでした。

タスクが複数あり、手分けしてやるべきなのですが、人に頼れず全部自分でやろうとしてしまう

あらゆることを抱え込もうとしてしまう自分としては、エッセンシャル思考に出会えたのは本当に幸運でした。

トレードオフ

戦略的ポジションは、別のポジションとのトレードオフなしには維持できない。

引用元:エッセンシャル思考

コンチネンタル空港のある戦略が取り上げられていました。

コンチネンタル空港は手厚いサービスや機内食を廃止した「コンチネンタル・ライト」というプランを提供開始したそうなのですが、このプラントは並行して従来のプラン(手厚いサービスと機内食などがある)も継続したそうです。

その結果、思ったほどコスト削減ができなく、さらに1日あたり1000件のクレームが寄せられるなどの大失敗となったそうです。

ここで言いたいことは、あっちもやってこっちもやるなんてことはできないということです。

片方の比重が低かったとしても、両立してやることは、そのサービス(物事)への集中を分散させてしまうことになり、結果としてクオリティが下がってしまう

何かを実現するためには、何かを捨てなければならない、ということです。

「選ぶ」ことを選ぶ

選ぶ能力は誰にも奪えない。ただ、本人が手放してしまうだけだ。

引用元:エッセンシャル思考

選ぶことを選ぶ。シンプルで力強い言葉だと感じます。

我々は選択肢にばかり目を向けてしまって、どれを選ぶかということを見過ごしてきた、と本書では語られます。

前述しましたが、僕はなんでも自分でやろうとしてしまうタイプです(本書を読んだ今、変わろうとしています)。

でもそれでは、極端な言い方をすると、何も身にならない、ということになります。

世の中の大半はノイズ。やるべきことだけを見据えて、絶対にやると決めて、やる。

これがエッセンシャル思考の重要な考え方のひとつです。

特にリーダーや上司のような立場にいる人に聞いてほしいのですが、この考え方は重要です。

部下(誰か)にやってもらうことの重要性も書かれています。

人に気をつかって自分でタスクを抱えすぎては本末転倒。そうなれば自分は体調を崩し、さらに生産性が低下してしまう。

決して、重要でないものは人に任せよ、と言っているわけではありません。

誰かにやってもらうことで、自分が本当にフォーカスすべきものにフォーカスして高いクオリティでやり遂げるということです。

エッセンシャル思考を身に着ければ、気をつかってものを頼めない人でも、変われてより高い生産性を上げることが可能になると思います。

相手にものを頼むことで、相手との信頼関係も深めることができると考えます。

サンクコストバイアス

本書からの気づきとして最後に書きたいのは、サンクコストバイアスです。

「サンクコストバイアス」とは、すでにお金や時間を支払ってしまったという理由だけで、損な取引に手を出しつづける心理的傾向のことだ。「ここでやめたら今までの投資が無駄になる」と思うあまりに、望みのない投資を重ねてしまう。

引用元:エッセンシャル思考

コンコルドの開発・製造に費やされたサンクコストが約10億ドルであったことが例として挙げられていました。

コンコルドとはイギリスとフランスの共同開発で行われた音速旅客機のことです。

今は退役しているそうです。

大規模であるが故、また投資額も膨らみ続けたが故に、引くに引けなくなったのだそうです。「ここまで投資したのだからもうすぐ結果が出る」と投資家たちは思ったのです。

何も大規模な投資だけでなく、サンクコストバイアスは我々の日常にも潜んでいると思います。

投資でなく努力でも同じこと。

長い時間ある物事に対して努力を重ねてきたが、結果が出なかったとします。そのときは、「自分には向いていなかった」と考え、きっぱりと足を洗うべきです(趣味は別です)。

これは「好きなこと」と「できること」を分けることの重要性にも関わります。

「好きなこと」で生きていきたいと思うのは誰でもそうですが、誰にとっても「好きなこと」が「できること」であるわけではありません

自分が他者から認められる「できること」にフォーカスを当て、もし今「できないこと」に対して努力を続けてしまっていて、結果が出ていないのであれば、切り替えることが重要です。

サンクコストバイアス。覚えておいて損はない言葉だと思いました。

あとがき

最後までお読みいただきありがとうございました。

少しでもエッセンシャル思考に興味を持っていただけたら幸いです。

そして本書は本当におすすめですので、ぜひ手に取って読んでいただければと思います。

僕にとっては、心に残る一冊となりました。