書くこと
HARD THINGSを読んだ後のアウトプット。
どんな本?
ベン・ホロウィッツというアメリカの投資家が書いた本。
この方はネットスケープの元副社長で、ラウドクラウドとオプスウェアの社長兼最高経営責任者だった人。
経営者として生きていく中で感じた大きなプレッシャーや苦痛をありありと綴った本。
本書の見返しにこんなことが書かれている。
協力ライバルからの反撃、会社売却、起業、急成長、資金ショート、無理な上場、出張中に妻が呼吸停止、バブル破裂、株価急落、最大顧客の倒産、売上9割を占める顧客の解約危機、3度のレイオフ、上場廃止の危機――。
壮絶すぎる実体験を通して著者が得た教訓は、あらゆる困難(ハード・シングス)、に立ち向かう人に知恵と勇気を与える。
引用元:HARD THINGS
本当に難しいこと
本当に難しいのは、大きく大胆な目標を達成することではない。本当に難しいのは、大きな目標を達成しそこなったときに社員をレイオフ(解雇)することだ。本当に難しいのは、優秀な人々を採用することではない。本当に難しいのは、その優秀な人々が既得権にあぐらをかいて、不当な要求をし始めたときに対処することだ。本当に難しいのは、会社の組織をデザインすることではない。本当に難しいのは、そうして組織をデザインした会社で人々を意思疎通させることだ。本当に難しいのは、大きく夢見ることではない。その夢が悪夢に変わり、冷や汗を流しながら深夜に目覚めるときが本当につらいのだ。
引用元:HARD THINGS
本書のイントロダクション、つまり一番最初に書かれていた言葉。
この言葉を読んだだけで「この本買ってよかった」と思ってしまった。(不謹慎ですが)
本書には、経営者として直面した様々な困難が書かれている。
経営者向けの本だと思うのだが、僕は、経営者ではない人も読んだ方がいい本だと思った。なぜなら会社は複数の人間で構成されるものだから。
引用した言葉を読み返してみてほしい。ベン・ホロウィッツが何を”本当に難しいこと”だと言っているだろうか。
「社員をレイオフすること」「優秀な人に対処すること」「意思疎通させること」、すべて人が関わることだ。
そう、よい組織を創るためには、社員全員がビジョンを共有して、同じ方向に向かっていくことが必要だ。
だから僕は本書「HARD THINGS」は経営者や管理職に人だけでなく、一般職位の人たちにも読んでほしいと思っている。
人を大切にする
かつてネットスケープのCEOとして私のボスだったジム・バークスデールがよくこう言っていた、「われわれは、人、製品、利益を大切にする。この順番に」。単純だが奥深い言葉だ。
(中略)
「人を大切にする」ことは、3つの中でも頭抜けて難しいが、それができなければあとのふたつは意味を持たない。
(中略)
ほとんどの職場は良い場所とはかけ離れている。組織が大きくなるにつれ、大切な仕事は見過ごされるようになり、熱心に仕事をする人々は、秀でた政治家たちに追い越されていき、官僚的プロセスは創造性の芽を摘み、あらゆる楽しみを奪う。
引用元:HARD THINGS
「熱心に仕事をする人々は、秀でた政治家たちに追い越されていき、官僚的プロセスは創造性の芽を摘み、あらゆる楽しみを奪う」
この言葉が印象的だったので引用した。
僕がSES(客先常駐)でエンジニアをやっていたとき、よく大企業に派遣されていた。(SESは大抵は大企業。お金を持っていてアウトソーシングできるのは大企業だから)
どこの現場でも「官僚的」だと思った。逆に言えば、官僚的ではない現場はなかった。
特定のひとだけが一番現場に詳しい。(最悪なパターンはその特定の人が外部から来ている人間だったときだ)
その特定のひとだけが優遇され、その特定のひとだけが評価され、、物事をすすめるためにはその特定の人のゴキゲンを取らなければならない。
とにかく「物事を進める」(生産性)よりも「人のゴキゲンを取る」方が圧倒的に優先される。
若手エンジニアのスキルは伸びず、穴を埋めるために何度もアウトソーシングをする。
その繰り返し。
アウトソースされてくるエンジニアがその現場でクリエイティブまたはイノベーティブなことを成し遂げることはない。
アウトソースなので結局は使い捨て。
このような企業は成長しない。そう確信する。
「人を大切にする」ことが何よりも優先。
だけど勘違いしないでほしいのは、「社員は大切にされるべき」というわけではないこと。
持つべきマインドは「人を大切にする」。一般職位の社員だったとしても、考えることは相手のこと。
フィードバック
単刀直入であれ。
部下のプレゼンがダメだと感じたときに、「すごくいいプレゼンだった。しかし結論を出す過程がちょっと弱かったから、底を少し手直ししたほうがいいかな」などと言ってはならない。一見乱暴に聞こえるかもしれないが、「この点とこの点が理解できなかった。その理由はこうだ」と指摘するほうがはるかに良い。水で薄めたフィードバックは相手を混乱させ、対処を迷わせるだけなので、いっそフィードバックを与えないほうがましだ。ただし、意地悪くあってはならない。鈍感であるのもいけない。不必要に権威を振りかざしたり、欠点を執拗に指摘したりするのは、慎まねばならない。フィードバックというのは双方向の会話でなければならない。
引用元:HARD THINGS
「自身をCEOとして鍛える」という章で語られていた言葉。
引用した理由は個人的な理由。僕自身がフィードバックが苦手だから。
そもそもフィードバックする側に立つことがあまりなかったけれど、この言葉は読んで印象に残った。
「相手に嫌われたくない」という心理は誰しも持っていると思うが、この感情に惑わされて本音を言わないのはよくない。
常に誠実である必要がある。
的確に指摘せよ、ではない。
「褒めて育てろ」とよく言う本があるが、こういうことでもない。
フィードバックはコミュニケーション。相手と会話して初めて成り立つもの。”指摘”も”褒める”も会話じゃない。
相手の言うことをよく聞き、わからないところは理由を添えて素直に尋ねる。そして相手から返答があったら耳を傾ける。
フィードバックは会話。一方通行ではない。